メールセキュリティソフトとは?安全に利用できる役割と選び方のポイント
多くの人が日常的に利用しているメールには、迷惑メールやフィッシングメール、ウイルス付きの添付ファイルなど、様々なリスクが隠れています。
メールを安全に利用するための対策として使われているのが、メールセキュリティソフトです。パソコンやスマートフォンなどで送受信するメールを検査し、迷惑メールやウイルスなどを検知・ブロックすることで、安全性を高められます。
ただし、メールセキュリティソフトだけですべての脅威を防げるわけではありません。また、製品によって搭載されている機能や対応できる脅威、導入方法なども異なるため、利用環境に合ったものを選ぶ必要があります。
安全にメールを利用できる環境を整えるためにも、メールセキュリティソフトの役割や選び方、導入時の注意点を確認しておきましょう。
メールセキュリティソフトの主な役割
メールセキュリティソフトの主な役割は、以下のとおりです。
- 迷惑メールやフィッシングメールの検知・ブロック
- ウイルスやマルウェアの検知・ブロック
- 危険なURLの検査
- メール誤送信による情報漏えいの防止
- メールの暗号化
- なりすましメールや標的型攻撃メールの検知
それぞれの役割について、詳しく見ていきましょう。
迷惑メールやフィッシングメールの検知・ブロック
メールセキュリティソフトの基本的な役割の1つが、迷惑メール(スパム)やフィッシングメールの検知やブロックです。
迷惑メールは、メールアドレスを公開していなくても届くことがあります。送信者が自動送信ツールを使い、推測したメールアドレス宛てに大量のメールを送信するケースがあるためです。こうした仕組み上、迷惑メールを完全に避けることは困難です。
メールセキュリティソフトでは、送信元のIPアドレスの信頼性やメールの件名・本文の特徴、送信ドメインの認証結果などを複合的に確認し、不審なメールかどうかを判定します。
危険性が高いと判断されたメールは、受信をブロックするほか、迷惑メールフォルダへ自動で振り分けられます。
また、フィッシングメールは銀行やサービス会社を装って個人情報の入力を誘導するもので、近年は文面や見た目が精巧になっており、利用者が手動で判断することが難しくなっています。
そのため、メールセキュリティソフトによって不審なメールを自動的に判別できれば、利用者が誤って操作するリスクを抑えやすくなるでしょう。
ウイルスやマルウェアの検知・ブロック
迷惑メール(スパム)には、ウイルスやマルウェアが仕込まれたファイルが添付されている場合があります。PDFやWord、Excel、ZIPなど、身近な形式のファイルに見せかけて開封させようとするケースもあるため注意が必要です。
メールセキュリティソフトは、添付ファイルをスキャンし、ウイルスやマルウェアが含まれていないかを確認します。危険性があると判断された場合は、ファイルを隔離したり削除したりすることで、端末への感染を防ぎます。
一般的には、既知のウイルスやマルウェアの情報と照合して脅威を検知します。さらに、製品によっては「ふるまい検知」や「サンドボックス」などを利用し、未知の脅威を検知できるものもあります。
サンドボックスとは、疑わしいファイルを隔離された仮想環境で実行し、その動作を分析する仕組みです。このような技術を組み合わせることで、既知の脅威だけでなく、新たなウイルスやマルウェアにも対応しやすくなります。
危険なURLの検査
メールセキュリティソフトによっては、メール本文に記載されたURLを受信時やクリック時に検査する機能も備わっています。フィッシングサイトや不正なWebサイトにつながるURLを検知し、アクセスをブロックすることで被害を防ぎます。
また、添付ファイルについても、ファイルを開く前に内容を検査して危険なコードが含まれていないかを確認します。
さらに拡張子が偽装されたファイルなども検出できる製品があります。リンクや添付ファイルへの対策を自動化することで、利用者の判断に依存しない安全な環境を構築できるのです。
メール誤送信による情報漏えいの防止
メール誤送信による情報漏えいを防ぐことも、メールセキュリティソフトの重要な役割の1つです。
特に企業では、宛先の間違いや機密情報を含むファイルの誤添付によって、情報漏えいが発生する可能性があります。
こうしたリスクに対して、メールセキュリティソフトには、送信前に宛先や件名、添付ファイルなどを確認する画面を表示する機能があります。また、一定時間を置いてからメールを送信する「タイムラグ機能」を備えた製品もあり、送信直後の取り消しに対応できる場合もあります。
メールの送信ミスを完全になくすことは難しいため、こうした機能を活用して送信前のチェックを自動化することが、情報漏えい対策につながるのです。
メールの暗号化
メールの暗号化機能は、送受信するメールの内容を暗号化して第三者による盗聴や改ざんを防ぐ機能です。特に機密情報や個人情報を含むメールをやり取りする場合は、暗号化によってセキュリティを高められます。
なりすましメールや標的型攻撃メールの検知
なりすましメールや標的型攻撃メールの検知も、メールセキュリティソフトの重要な役割です。
なりすましメールとは、送信元のアドレスなどを偽装して送られるメールを指します。受信者を信用させたうえで、不正な操作や情報提供を求めるのが代表的な手口です。
一方、標的型攻撃メールは、特定の企業や個人を狙って送信される攻撃メールです。関係者を装った自然な文面が使われることも多く、一般的な迷惑メールと比べて見分けにくい傾向があります。
こうしたメールへの対策として、メールセキュリティソフトでは「SPF※1」「DKIM※2」「DMARC※3」などの送信ドメイン認証技術を利用し、送信元が正当なものかを確認します。
- ※1メールを送信したサーバが、そのドメインからの送信を許可されているか確認する仕組み
- ※2メールに付けられた電子署名を確認し、送信元の正当性やメールが改ざんされていないかを確認する仕組み
- ※3SPFやDKIMの認証結果をもとに、認証に失敗したメールをどのように扱うかを指定する仕組み
さらに、AIや機械学習を活用した製品では、過去のメールの送受信パターンなどを分析し、普段とは異なる不審なメールを検知する機能を備えている場合もあるのです。
メールセキュリティソフトを選ぶ5つのポイント
メールセキュリティソフトは製品によって搭載機能や対応する環境が異なります。メール環境や必要な対策に合った製品を選ぶために、以下の5つのポイントを確認してください。
対策できる脅威の種類
まず、導入する製品がどのような脅威に対応しているかを確認してください。たとえば、以下のような脅威への対策機能が搭載されている製品があります。
- 迷惑メール(スパム)のフィルタリング
- ウイルス・マルウェアの検知
- フィッシングメールの検知・ブロック
- 危険なURLへのアクセス防止
- なりすましメールの検知
- メールの誤送信防止
一方で、すべての製品がこれらの機能を搭載しているわけではありません。スパムメールのフィルタリングに特化した製品もあれば、メールのセキュリティ対策を幅広く対応する製品もあります。
そのため、まずはどのような脅威が想定されるのかを整理し、必要な対策機能が搭載されているかを製品のスペックで確認しましょう。
すべての機能が必要とは限らないため、必要な機能を過不足なく備えた製品を選ぶことが、セキュリティ対策とコスト管理の両立につながります。
メールソフトとの互換性
メールセキュリティソフトを選ぶときは、現在利用しているメールサービスで使えるかを確認しましょう。
たとえば、Microsoft 365やGoogle Workspace、Gmailなど、利用しているメール環境によって対応できる製品は異なります。製品によっては、特定のメールサービスにしか対応していない場合もあるため注意が必要です。
また、導入方法も製品によって異なります。設定を変更するだけで利用できるものもあれば、専用の機器やソフトウェアの導入が必要な場合もあります。
導入後に「今のメール環境では使えなかった」とならないよう、対応しているメールサービスや必要な設定を事前に確認しておきましょう。
管理・運用のしやすさ
メールセキュリティソフトは、導入した後の管理や運用のしやすさも確認しておきましょう。
たとえば、設定画面がわかりやすいか、不審なメールを確認しやすいか、必要に応じて受信を許可できるかなどがポイントです。利用状況や検知した脅威を確認できるレポート機能があると、管理もしやすくなります。
無料トライアルが用意されている場合は、実際の画面や操作方法を確認してから導入を検討しましょう。
利用人数や必要な機能に見合った料金体系
メールセキュリティソフトの料金体系は、月額制や年額制、利用できる端末台数に応じたプランなど、製品によって異なります。
特にパソコンやスマートフォンなど複数の端末で利用する場合は、1つの契約で何台まで保護できるのかを確認しましょう。家族で利用できる複数台向けのプランを選ぶことで、1台ずつ契約するより費用を抑えられる場合もあります。
また、製品によって搭載されている機能は異なります。迷惑メール対策だけでなく、ウイルス対策やフィッシング対策、危険なWebサイトへのアクセス防止など、必要な機能が含まれているかを確認し、料金とのバランスを比較して選ぶことが大切です。
メール環境に合った導入形態
メールセキュリティソフトの導入形態には主に「クラウド型(SaaS型)」「ゲートウェイ型(アプライアンス)」「ソフトウェアインストール型」があります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 導入形態 | 特徴 |
|---|---|
| クラウド型 | サーバを用意する必要がなく、比較的手軽に導入できる |
| ゲートウェイ型 | メールサーバの手前でメールをチェックし、細かく設定できる |
| ソフトウェア インストール型 |
既存のメールサーバにソフトウェアを導入して利用する |
それぞれ導入方法や管理のしやすさが異なるため、利用しているメール環境や必要な機能に合ったものを選びましょう。
代表的なメールセキュリティソフト5製品を比較
一般向けのメールセキュリティ対策は、メール専用のソフトを導入するというより、総合セキュリティソフトに搭載されている機能を利用するケースが一般的です。
多くの総合セキュリティソフトには、ウイルスやマルウェア対策に加えて、フィッシングメールの検知、危険なリンクへのアクセス防止、詐欺サイトのブロックなど、メールをきっかけとした被害を防ぐ機能が備わっています。
ここでは、メールセキュリティ機能を備えた代表的な総合セキュリティソフト5製品について、メール・詐欺対策の特徴やその他の機能、向いている人を比較します。
| 製品 | メール・詐欺対策の特徴 | その他の主な特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ウイルスバスター クラウド | AIでメール本文を解析し、詐欺メールの可能性がある場合に警告 | 危険なWebサイトへのアクセスをブロック | メールだけでなく、パソコンやスマートフォンもまとめて対策したい人 |
| ノートン 360 | メールやメッセージ内の不審な内容をAIで判定し、詐欺の可能性を検出 | ウイルス・マルウェア・ランサムウェア対策、VPNなど | メールやメッセージを含む幅広いオンライン上の脅威に備えたい人 |
| マカフィー | McAfee Smart AI™でメール内の不審なリンクを検出し、危険性がある場合に警告 | ウイルス対策、Web保護、個人情報保護 | メールに記載された危険なリンクへの対策を重視したい人 |
| ESET HOME セキュリティ | メールなどから誘導されたWebサイトを判定し、フィッシングサイトへのアクセスをブロック | セキュアブラウザ機能を搭載 | フィッシング対策に加えて、ネットショッピングやネットバンキングも安全に利用したい人 |
| アバスト | 有料版ではAIを活用して詐欺サイトや詐欺メールを検知・ブロック | ウイルス・ランサムウェア・ゼロデイ攻撃などに対応 | 無料から始めたい人や、メールを含む詐欺対策を強化したい人 |
どの製品もメールをきっかけとした詐欺や危険なWebサイトへの対策に利用できますが、対策方法や搭載されている機能には違いがあります。普段のインターネットの使い方や、メール以外にどこまでセキュリティ対策を行いたいかを踏まえて選びましょう。
ウイルスバスター クラウド
ウイルスバスター クラウドは、トレンドマイクロが提供する個人向けの総合セキュリティソフトです。ウイルスやマルウェアへの対策に加えて、フィッシング詐欺などのネット詐欺対策にも対応しています。
メール対策としては「詐欺メール対策」機能があり、AIがメールの内容から詐欺の特徴を検出し、詐欺メールの可能性がある場合に警告を表示します。GmailやOutlook.com、Yahoo!メールなどのWebメールにも対応していますが、利用できるサービスや機能はOSによって異なります。
また、メールに記載されたリンクからフィッシングサイトなどの危険なWebサイトへアクセスしようとした場合に、アクセスをブロックする機能も備えています。
メールだけでなく、Webサイトの閲覧やパソコン・スマートフォンのセキュリティ対策をまとめて行いたい人に向いている製品です。
ノートン 360
ノートン 360は、個人向けの総合セキュリティソフトです。ウイルスやマルウェア、ランサムウェアへの対策に加えて、オンライン上の詐欺対策やVPNなどの機能も備えています。
詐欺対策にはAIが活用されており、不審な情報や詐欺の可能性があるコンテンツを見分けるための機能が用意されています。
メールやメッセージをきっかけとした詐欺や、危険なWebサイトへの誘導などを含め、幅広いオンライン上の脅威に備えたい人に向いています。
マカフィー
マカフィーは、ウイルス対策やWeb保護、個人情報保護などを備えた個人向けの総合セキュリティソフトです。
メール対策では、メールに記載された危険なリンクへのアクセスを防ぐ機能を利用できます。McAfee Smart AI™を活用した詐欺検知機能により、不審なリンクを検出して警告するほか、誤ってクリックした場合でも危険なWebサイトへのアクセスをブロックします。
ESET HOME セキュリティ
ESET HOME セキュリティは、キヤノンITソリューションズが提供する個人向けの総合セキュリティソフトです。ウイルスやマルウェアへの対策に加えて、フィッシング詐欺などのネット詐欺対策にも対応しています。
フィッシング対策では、メールなどから誘導されたWebサイトが危険なサイトかどうかを判定し、フィッシングサイトへのアクセスをブロックします。
また、オンラインショッピングやネットバンキングを利用する際に、クレジットカード情報や口座情報などを狙う攻撃から保護する「セキュアブラウザ機能」も備えています。
アバスト
アバストは、無料版から利用できる個人向けのセキュリティソフトです。ウイルスやマルウェアへの対策に加えて、フィッシング詐欺などのオンライン上の脅威にも対応しています。
有料版の「アバスト プレミアム セキュリティ」では、AIを活用して詐欺サイトや詐欺メールを検知・ブロックする機能を利用できます。
また、ウイルスやランサムウェア、ゼロデイ攻撃などへの対策も備えているため、メールだけでなく、インターネット利用全体の安全性を高めたい人にも向いています。
まずは無料でセキュリティ対策を始めたい場合は「アバスト 無料アンチウイルス」、メールを含めた詐欺対策を強化したい場合は「アバスト プレミアム セキュリティ」を検討するとよいでしょう。
メールセキュリティソフトを導入するときの注意点
メールセキュリティソフトを導入することで多くの脅威に対処できますが、過信は禁物です。導入前に以下の注意点を把握しておきましょう。
すべての脅威を防げるわけではない
メールセキュリティソフトは既知の脅威や一般的なパターンのスパムを高い精度でブロックできますが、新種のマルウェアや巧妙に作られた標的型攻撃メールをすべて防げるとは限りません。
攻撃者は常にフィルタリングをすり抜ける新しい手法を開発しており、セキュリティソフト側の対応が後追いになることがあります。
また、正常なメールが誤って迷惑メールとして判定される「誤検知」も発生することがあります。重要なメールが届かない事態を防ぐため、迷惑メールフォルダの定期的な確認と管理が必要です。
導入後も設定の見直しやアップデートが必要
メールセキュリティソフトは導入して終わりではなく、定期的な設定の見直しとアップデートを続けることが重要です。
脅威の傾向は変化するため、フィルタリングルールや検知エンジンを最新の状態に保つことで、新たな攻撃手法にも対応できます。
製品のアップデートが自動で行われるクラウド型では、運用の手間を抑えながら最新の状態を維持しやすいです。定義ファイルのアップデートや設定変更を定期的に行う体制を整えておきましょう。
利用者自身のセキュリティ対策も欠かせない
メールセキュリティソフトを導入しても、利用者自身がセキュリティに関する基本的な知識を持っていなければ、被害を防ぐことはできません。
フィッシングメールの見分け方・不審なリンクや添付ファイルへの対応・パスワード管理など、基本的な知識を身につけておくことが大切です。
メールのセキュリティ対策も充実したAsahiNet 光
メールのセキュリティ対策は、セキュリティソフトだけでなく、利用しているプロバイダが提供するサービスも活用することで、より安全性を高められます。
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また、端末全体のセキュリティ対策には「マカフィー® マルチアクセス」も用意しています。メール経由の脅威だけでなく、インターネット利用時に遭遇するさまざまな危険からパソコンやスマートフォンを守るために活用できます。
メールを安心して利用するには、メールセキュリティソフトとプロバイダのセキュリティサービスを組み合わせ、複数の方法で対策することが大切です。
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