チップセット

チップセット(Chipset)とは、ある機能を実現するのに、複数の集積回路を組み合わせて機能を実現する構成の場合、それら一連の関連のある複数の集積回路チップ)のことをチップセットと呼ぶ。

とりわけ、コンピュータにおいて、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとのバスブリッジや、パーソナルコンピュータを構成するのに必要な周辺回路を集積したチップといったような、複数のチップのことをチップセットと呼ぶこともある。

以下はこの狭義の意味であるパーソナルコンピュータにおけるチップセットについて説明する。

概要

チップセットにはメモリインタフェースやAGPなどの制御回路が搭載されているため、コンピュータのパフォーマンスに重大な影響を与える。すなわちマザーボードは特殊な場合を除き、CPUをターゲットに設計されるのではなく、直接の設計ターゲットはチップセットとなる。CPUの交換が想定されているシステムは必ずしも珍しくないが、チップセットのみの交換を想定しているシステムは存在しない。

初期のPC/AT互換機では、標準的なCPU周辺LSIを組み合わせて回路が構成されていたが、低価格化などをはかるためにこれら周辺LSIを幾つかの、より高密度なLSIに統合したもので、チップス・アンド・テクノロジー社(インテルに買収)などが初期の代表的なメーカーである。もっとも、チップセットという言葉が認知され始めたのは、PCIバス規格に準じたインテルのi420TX(Saturn)やi430NX(Neptune)あたりからで、それ以前は統合ASICと呼ばれることが多かった。i430LX(Mercury)やi430FX(Triton)から、よく見られる2チップ構成となった。

多くのチップセットは、開発サイクルや発熱・歩留まりを考慮して、2チップ構成になっており、CPUメモリバスに接続される方をノースブリッジI/Oに接続される方をサウスブリッジと呼ばれる。これら2つのチップ間は数ギガbpsの高速かつ排他的なリンクで接続される。このリンクの方式と速度が整合していれば、1世代のノースブリッジで、何世代かのサウスブリッジに対応可能である。また、このほうがマーケティング的にも、システムの最新スペックが更新しやすいという利点があり、製品の格付けも容易となる。ノースブリッジには、CPUインターフェースメモリインターフェース、グラフィックインターフェースが含まれ、GPUの機能を統合しているものもある(統合チップセットを参照)。サウスブリッジには、PCIIDEUSBEthernetなどのI/Oが搭載されることが多い。

開発サイクルを犠牲にしても実装面積の削減を目的に、ノースブリッジサウスブリッジを一つにまとめる場合もあり、こういった製品はワンチップチップセットと呼称される。物理的な統合・分離とは異なり、IntelCentrinoのようにCPU無線LANといったチップセット以外のデバイスとの組合せをプラットフォームとしてブランディングする動きもある。

カスタマイズされたベンチマークなどの特定アプリケーションを除き、2チップ間のリンクの方式と速度が全体のシステム能力の上限を決定することになるので、リンクの高速シリアル化および更なる高速化に余念がない。20世紀最終のUSBに始まった高速シリアル化は、RDRAM実装失敗で二の足を踏んだものの、その後Serial ATAの普及、PCI Expressへの移を済ませて、メモリインターフェースを残すのみとなった。

他のデバイス同様、チップセットの機能・役割も時代によって変わりつつある。AMDプラットフォームでは2003年に、インテルプラットフォームでも2008年にはメモリコントローラのCPUへの移が開始されており、従来のノースブリッジメモリコントローラを内蔵したチップという概念は必ずしも通用しなくなっている。

またチップセット自体の高速化に伴い、レガシーデバイス(キーボードマウスフロッピーディスク、シリアル、パラレル、ISAバス(極一部の組み込み用マザーボードにはまだ採用されている))はサウスブリッジから削除され、サウスブリッジから更に接続されたスーパーI/Oチップに担当させる事が増えている。

統合チップセット


ノースブリッジにグラフィックス機能を統合したチップセットを、特に統合チップセットと呼ぶ。("グラフィックス"または"ビデオ"と付けることもある)

ビデオメモリメインメモリの一部領域を共有するUnified Memory Architecture(UMA)が主流であるが、専用の外部メモリサポートする製品もある。

描画性能は同世代の単体GPUに比べ大幅に劣ることが多い。ただし、近年ではグラフィックス機能の強化が積極的にわれており、基本的に強力な3D処理能力が求められるFPSなどを実する場合を除けば十分な性能を有している(ローエンドの単体GPUに匹敵する性能を持つ製品もある)。また、マルチディスプレイ機能やDVI出力、Shader Model 4.0対応などの単体GPUに迫る多彩な内蔵機能を実装した製品も多い。

一般的にグラフィックスボードを搭載するよりも低コストであり、また省スペース性・省電力性にも優れているため、低価格機および発熱・消費電力が問題になりやすいノートパソコンや小型デスクトップパソコンではグラフィックス機能の主流となっている。

なお、統合チップセットのグラフィックス機能は、一般的に「オンボードグラフィックス」などと呼称されるが、あくまでチップセットの機能であるため「オンボードグラフィックスカード」などの呼称は誤りである。

チップセット」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』(http://ja.wikipedia.org/)。2009年7月28日15時(日本時間)現在での最新版を取得。

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